首曳きの唄/栗栖真理亜
 
の片腕を無理やり引っ張った。
僕はビックリして飛び起き、ここが病院でないことを知った。
ひんやりと肝すらも冷やすような鉄製の固いベッド。
スプリングすら、弾力も柔らかも失われて、ただ布地が張り巡らされているだけのように見える。
あたりを見渡すと、どんよりと汚く汚された灰色の壁と、頑丈に嵌められた鉄製の格子が目に映った。
(ここは一体どこなんだ?)
状況が、もひとつのところ把握出来ない。
僕は眼を擦りながら、僕を無理やり立たせようとしている男を見やった。
男はブルーの制服に警帽を被っている。
どうやらここの看守らしい。
と、いうことはやはり、僕は捕まってそのま
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