首曳きの唄/栗栖真理亜
 
った。
亡霊でもなんでもいい。
とにかく、会いたいのだ。
しかし、砂時計のようにゆっくりと流れていく時間の中で、切望してやまない“誰か”に会うことはなかった。
僕の意識は再びまどろみ始める。
(薬が効いているのかな?)
そういえば、毎日飲まされている薬は精神安定剤だと看護婦から聞かされていた。
おそらく、そういった薬が体に効いてきているのだろう。
瞼がだんだんと重くなってきて、視界も塞がっていくような気がする。
僕は結局眠りにつこうとする精神に抗うことが出来ずに
瞼を閉じてそのまま暗く安らかな闇へと滑り込んでいった。

「起きろ!!」
誰かが僕の片
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