首曳きの唄/栗栖真理亜
は係官にも理解されたが、それ以外の事は病気による妄想としてしか理解されなかったようだ。
何度も、何度も同じ問答ばかり繰り返し、しまいには相手も呆れ返って帰って行ってしまった。
その後、僕は病室の白い壁ばかり眺めて日長一日を過ごした。
そういえば、僕が病院に運ばれてからというもの、小野寺先生はプッツリと姿を見せなくなった。
彼女はどうしているのだろう・・・?
僕はウトウトと眠りこけながらそんなことばかり考えるようになった。
(垣ノ内や万里子の亡霊にも最近会わなくなったな)
まあ、会ったとしても周りは信じてはくれないだろうけれど。
それでも僕は無性に誰かに会いたくなった
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)