首曳きの唄/栗栖真理亜
せ、密着した先生の胸の音が僕の鼓動に呼応するように伝わってくる。
あの建物まで何て長い道のりだろう。
目の前にある風景がまるで蜃気楼のように揺らめいた。
身体もふんわりと浮き立つような感触を覚え、真っ白な闇が僕を押し包んだ。
僕は結局、警察病院に運ばれ、意識を取戻した時には、すでに病室のベッドに寝かされていた。
神経薄弱による、精神疾患。
それが僕に下された医師からの診断だった。
少しの時間だけなら精神的負担はかからないということで、取調べは病室で行われた。
最初に殺した男の首を琵琶湖に沈めた事や垣ノ内を彼のマンションで殺し、その首を学校のロッカーにしまった事は係
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