首曳きの唄/栗栖真理亜
 

「クスッ、クスクスクス・・・」
「フッ、ふふふふふ・・・」
「ははっ・・・ははははは・・・・」
「キャハハハハ・・・・」
名も知らぬ声の中にところどころ、垣ノ内や万里子の声も混じって聞こえてくる。
(負けるもんか)
僕は吹っ切るように精神を振り絞り、闇を追い払った。
徐々に先生の深刻そうな顔と部屋の風景が僕の目の前にボンヤリと映し出される。
「大丈夫です、行きましょう」
僕は先生に支えられながら、くらくらする頭を抑えて部屋を出た。

僕はそれからどうしたのか、てんで記憶がない。
どうやら、小野寺先生の車に乗り込んだ際、またもや意識を失ってしまったようだ
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