首曳きの唄/栗栖真理亜
 
らにじみ出た冷や汗が頬を伝う。
僕は無意識の内にそろそろと冷たいアルミの金属板の扉を撫でていた。
ここにあの丸っこい血みどろの鞠のような物体が入っていたのだと思うと、頭の先からつま先まで、心地好い電撃が走った。
まるで、身体が嬉しさを隠し切れぬ幼い子供のように今にもはしゃぎ出そうと必死だ。
僕は思わず、くくっと喉を鳴らした。
すぐ傍の廊下を通りかかった女子が不気味そうに僕を見つめ、すぐさま目を逸らそうとしたが、そんなこと構うものか。
僕は今、大声で歌でも歌いたい気分だ。
来るなら来い。
いつでも受けて立ってやる。
僕は何だか気持ちが大きくなったような感じがして、
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