柔らかき手の殺意/栗栖真理亜
 
たい殺気。
それは世の中に漂う憎悪という憎悪を掻き集めて増幅させたといった感じだった。
(何かがすぐ傍にいる・・・だめだ!顔を合わせては・・・)
僕は布団の中で縮こまりながら、必死になって自分自身に言い聞かせた。
緊迫とした状態が続き、時だけが刻々と過ぎていく。
やがて、僕は睡魔に負けて何時の間にか意識を手放していた。
次に気付いた時にはもう、いつもの白い手が僕の首をきつく絞めていた。
僕は死の恐怖に駆られて必死に引き離そうとする。
それでもやはり、手は、簡単には離れようとはしなかった。
僕はもがいているうちにカッと目を見開いた。
そこには僕の首を絞めている
[次のページ]
戻る   Point(0)