柔らかき手の殺意/栗栖真理亜
すると彼らは決まって、びくっと、体を震わせ、何か腫れ物にでも触ったかのような顔をしてすごすごと自分の持ち場へと帰っていく。
中には無言でにらみつける者や小ばかにしたような笑いを顔に浮かべる者もいる。
そうするとますます僕は不愉快な気持ちになるのだ。
ハヤク、ラクニナリタイ。
いっそのこと殺してくれたら・・・と思う。
こんな毎日不安感に苛まれるぐらいなら。
僕は大きく溜息をついた。
だいぶ疲れてるな、こんなことを考えてるようじゃ。
僕は苦笑を漏らすと、ゆっくりと顔を上げた。
それからは何事もなく毎日が過ぎていった。
あの奇妙で恐ろしい白い手がどこかへなりを
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