柔らかき手の殺意/栗栖真理亜
書かれている。
しかし、そんなものはとりあえず無視していつもの自分の席につくと
トースターにパンを放り込んでタイマーを回した。
少し苦めの野菜ジュースを口に含みながら談笑に加わる。
テーブルと食べ物の間を行き来する他愛のない会話。
何気なく交わされる言葉の一つ一つはまことに意味のない下らんものだろうが、コミュニケーションの手段としては役立っている。
長年人間が培ってきたものなのだから、まあ、仕方のないものなのかもしれないが。
話題はごく一般の世間話から今朝見た夢の話へと話が移っていった。
勿論僕もその話に加わる。
今朝見た夢なんぞあまりにも心地好くってとうに忘れ
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