柔らかき手の殺意/栗栖真理亜
てくれよぉ〜)
僕はウンザリして深い溜息をついた。
昼っぱらからこれじゃタマらない。
オマケに妹まで母親に加勢してきてややこしさに尚の事拍車がかかった。
「おにいちゃん!まったく!それでも恥ずかしくないの?お兄ちゃん、もう二十歳でしょ? オトナなんでしょ?オトナならオトナらしくしっかりちゃんとしなさいよ!」
妹のクセして、偉そうに口を尖らせていっちょ前な口をきく。
国立の教育学部かなんだか知らないが、そんなに煩さけりゃあ、子どもが嫌がるぞ。
僕はぶつくさ心の中で反論しながら、相手が飽きて止めるまでじっと我慢していた。
終いには母親が感情を高ぶらせて泣き出す始末。
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