柔らかき手の殺意/栗栖真理亜
 
では、本当の意味での安らかな眠りは訪れないような気がした。
昼過ぎになってまたいつもの騒動が沸き起った。
なんのことない、云う事を聞かないわがままな子どもだと一方的にこっちが攻め立てられたのだ。
容赦しない機関銃のような母親の攻撃にすでに戦闘意欲を無くしてしまった。
僕は黙り込んだまま、相手を睨み付けてやった。
「なんなの! その目は! 云いたいことがあるんだったらちゃんと口に出して云ったらどう? 」
反抗的な態度が余計油に火を注いだようだった。
既に頭に血が上っているであろう相手は怒り心頭といった具合に目を吊り上げ、怒鳴り散らしてくる。
(をいをい。いい加減にしてく
[次のページ]
戻る   Point(0)