夢人の恋/栗栖真理亜
人公(ヒロイン)が叫ぶ。
私は何時の間にか、食い入り様にブラウン管を見つめていた。
あの瞬間(とき)以来、曖昧な言葉を信じきってしまったのかもしれない。
運命運命運命ウンメイウンメイウンメイうんめいうんめいうんめい・・・・・・。
私は自分の頭に刻み込むようにゆっくりと心の中で繰り返した。
言葉の呪文はゆっくりと私のなかに浸透していく。
それから、ぼんやりとではあるが、私をこんなにも苦しめている想い人を憎みつつある自分にも気付く。
―待てど暮らせど彼は姿を現さない。―
まるでわざと意地悪く焦らされているような気がしてなんだか腹立たしくなった。
ぼすっ。
クッシ
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