夢人の恋/栗栖真理亜
ッションを思いっきり床に叩きつけた。
バウンドすることなく地面に沈み込んだクッションはまるで私の愚かさを象徴するかのようであった。
そのまま、靴下で踏み付けにする。
それでも気が晴れず、何度も憎っくき敵を討ち果たすかのように繰り返す。
気がつくと何時の間にか部屋の中は暗くなっていた。
窓を見上げると月が出ている。
月は哀しそうな顔をして寂しく辺りを照らしていた。
まるで、今までの一部始終を見ていたかのように。
私は急に恥ずかしくなってカーテンを閉めた。
了
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