夢人の恋/栗栖真理亜
男に『隼人』と名付け、薄れつつある記憶を手繰り寄せて愛しようとしている。
「隼人何処にいるの?」
もし、運命の糸というモノが本当にあるならば、運命の相手を呼び合う声も相手に届くはず。
運命の人といつかきっと巡り会えますように・・・。
私を愛する人に祈りを込めて瞼をゆっくりと閉じた。
生まれてこのかた、運命なんて信じなかった。
もし、あったとしてもそれはうそだと思った。
バカバカしい・・・本当に幼稚なおとぎ話だと思った。
そんな曖昧で根拠のないウソは消えてなくなればいい・・・そう思っていた。
『誰かが私を呼んでるんですよ』
ブラウン管のなかでドラマの主人公
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)