夢人の恋/栗栖真理亜
 
ツに触れ、一個ずつボタンを外していく。
最後までボタンを外し終え素肌が露になると、彼は愛しそうに口づけた。
私はくすぐったさと幸福さとがごっちゃになってつい声を漏らしてしまう。
彼は満足そうに優しい笑みを浮かべた。

私は目覚めてからも長い間ぼうっとしていた。
こんなに満足感を覚えるSEXは初めてだった。
たとえ、夢であろうとも。
私は彼が誰なのか再び思案するがやはり思い出せない。
ただ彼が『居た』ことは確かだった。
私は今まで付き合ったことの男達の顔を思い浮かべるが比べ物にもならなかった。
誰かも知らぬ『彼』のほうがずっと良かったからだ。
私は遅い朝
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