戸をたたくのはだれ?/栗栖真理亜
 
てしまい、彼がつれさらわれてしまったこと、今、他の兄弟達が弟を取り戻す為に男を追いかけているが、何時まで経っても彼らが帰ってこないこと――を話しました。
それを聞いた母親はあまりのショックで、顔が赤くなったり青くなったりしました。
しかし、ようやくのところで、母親は正気を取り戻し、裁縫箱から針と糸と鋏を持って来ました。
そんなものをどうするのかと双子が聞くと「きっと、兄さん達は食べられているに違いない、あの人のことだから、きっとそうするに違いない、私にいい考えがある。」と母親は言って、双子に留守番を頼み、男の元へ出かけていきました。
その頃、男は、子供たちを食べて満腹だったので、お日様がぽ
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