戸をたたくのはだれ?/栗栖真理亜
が聞こえてきました。
双子は驚いて、また顔を見合わせました。
「お母さんですよ、開けてちょうだい。」
今度は双子も慎重に慎重を重ねて戸を開けました。
立っていたのは本物の母親でした。
「ママ!」
いろいろなことがあって、よっぽど恐かったのでしょう。
双子の兄弟は母親に抱き着いて泣きじゃくりました。
「まあ、どうしたのです?他のみんなはどこ?」
母親は驚いた顔ををしてそう尋ねました。
双子は今までの経過――母親が出かけてから、知らない大男が来て、母親の名を騙って戸を開けさせようとしたこと、自分達はなんとか男を入れさせない為に知恵を絞ったこと、
しかし、結局は末っ子が戸を開けてし
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