戸をたたくのはだれ？/栗栖真理亜
に母さんなら、手を見せておくれよ。」と子供たちは言いました。
「よしきた！手を見せればいいんだな？」
相手はそっと空いた戸口から手を差し出しました。
その手は毛むくじゃらで真っ黒な手でした。
「さあ、言う通りにしたよ。早く開けておくれ。」
「だめ！だめ！だめ！母さんはそんなに毛むくじゃらじゃないよ。」と、子供達は言いました。
すると、すっとその手が引っ込んだと思ったら、しばらく経ってから、また声がしました。
「かあさんだよ、早く開けておくれ。」
「じゃあ、手を見せて。」
今度は毛一つ生えていないスベスベの手が差し出されました。
「さあ、もういいだろう。いい加減に開けておくれよ。
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