戸をたたくのはだれ?/栗栖真理亜
よ。」と、戸口の何者かが言いました。
「だめ!だめ!だめ!母さんはそんなにガラガラ声じゃないよ。」と、子供達は応えました。
すると、また、暫くすると声がしました。
「今度こそ本当に母さんだよ。開けておくれ。」
その声は高くて透き通るような美しい声でした。
「母さんだ!おにいちゃん、母さんが帰ってきたよ!」
一番末っ子の弟がそう言って、戸の方へ駆け出して行きました。
そして、「戸を開けちゃ駄目だ!」と言う兄達の言葉を無視して、とうとう、その戸を開けてしまいました。
そこに立っていたのは、見も知らぬ大男でした
男は末っ子をひっ掴むとどこかへ連れ去ってしまいました。
残った兄弟達はし
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