戸をたたくのはだれ?/栗栖真理亜
 
かけて行きました。
双子の兄弟は、ある大きな野原に出てきました。
そこにはただ土地いっぱいに広がる草だけで、隠れるところはどこにもありません。
ただ必至になって、双子の兄弟は辺りを見まわして、隠れ場所になるようなものを探しました。
ふと、二人の視界に入ったのは、大きな樫の大木でした。
双子は急いでその樫の木に登りました。
それに気付いた大男もその後に続いて樫の木に登ってきました。
そしてどんどん双子の兄弟と男の差が縮まっていきました。
もう少しで捕まりそうになりながらも、迫り来る魔の手から逃れる為に、
双子はただ、ただ、無我夢中で上へ、上へと登って行きました。
一番てっぺんに登
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