戸をたたくのはだれ?/栗栖真理亜
 
に登りついた時、下を見下ろすと、大男がもうそこまで追いついてきていました。
双子の兄弟は空を見上げ、天に祈りをささげました。
「どうか、神様、僕らをお助け下さい。もし、助けてくだされば、どんな責め苦でも受けてたちます。だから、どうかお助け下さい。」
するとどうでしょう、お日様が一瞬、眩しい光を放ち始めたかと思うと、
その強烈な光が眩しさで目を覆っていた双子の兄弟をあっという間に吸いこんでしまいました。
後に残ったのは、樫の大木と大男だけ。
その樫の大木も、双子の兄弟が太陽に吸いこまれた後、メキメキと急激に腐り始め、枝にしがみついていた男は頭から地面に落ちて血を流して死んでしまいました。
その血を浴びた草は赤くなり、赤根草と呼ばれるようになったという。
え?双子の兄弟はあの後どうなったのですって?
二人はあの熱い太陽の中で、太陽の火種を絶やさぬように、一生、その火をくべ続けているということです。

これで、お・し・ま・い。
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