弔辞台本原稿 長男へ/鏡文志
 
うに思うのです。一般の世界には建前や見栄があり、ただ気持ちいいと本人が思い込んでいるだけの音楽を皆で共有出来るか? 長男の問題は音楽家としてどの世界で成功したかったのか? という受け入れ先の問題でもありました。福祉の世界で成功することはあり得たかも知れませんし、今後も残された音源をありがたく聞く人も現れるかも知れない。しかし、長男は一度仕事を辞めて、新たな職業が直ぐに見つからず、一般就職から福祉の世界へ敷居を少し下げようとしてA型作業所の試験につまづいたことが大きなきっかけで精神錯乱を起こしそのまま気が狂いて、放火事件を起こし、精神病院へと入院し、二度と帰らぬ人へと成り果てました。
ここでも思う
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