瞬篇集『ディストピアの五つの欠片』/佐々宝砂
 

「ココロオドル」

「ココロオドル」と奇妙な四角いガラスのような機械に書いてある。どういう意味だと問うてみたいが誰もいない。そもそも此処は何処なのか。「誰かいますか」と声に出してみた。自分のものとは思われぬ情けない高い声だ。驚くことにいらえがあった。

「はーい、いますよ。わかんないことはおねえさんに聞いてね?」

「此処は何処だ。私は何故此処にいるのだ」

「はーい、あなたは…そうね、たぶん20世紀前半に生きた日本人の魂でここに呼び出されたのよ! ここはみんなの遊び場よ! ココロオドルとはこの世界で他に呼び出された魂と遊ぶことよ!」

いやそれは全く心躍らない。何をやらさ
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