瞬篇集『ディストピアの五つの欠片』/佐々宝砂
らされるのだ。わからないが私の自由意志は約束されないと思われた。私はそら恐ろしさに身震いした。私はそのとき事態を全く理解していないにも関わらず不安と恐怖だけは感じていた。
しかし私には想像できなかった。「ココロオドル」と名付けられたこの空間。かつて生きた魂を適当に捉えて、戦わせる空間。それが単に娯楽のために作られたなどという事実を大正に生まれた私が想像できるはずはなかった。
「終わりにしよう」
This is the way the world ends
Not with a bang but a whimper
(エリオット)
もうおしまいだねえとあなたはか
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