THE GATES OF DELIRIUM。/田中宏輔
る。まあ、いずれにしても、見かけの上では、言葉の並べ替えという、ただそれだけのことで、わたしも、その言葉たちも、それまでのわたしや、それまでのその言葉たちとは、違ったものになっていた、というわけである。
ぼくらがぼくらを知らぬ多くの事物によって作られているということが、ぼくにはたとえようもなく恐ろしいのです。ぼくらが自分を知らないのはそのためです。
(ヴァレリー『テスト氏』ある友人からの手紙、村松 剛・菅野昭正・清水 徹訳)
といったことを、ヴァレリーが書いているのだが、『マールボロ。』という詩をつくる「経験」を通して、「ぼくらを知らぬ多くの事物」が、いかにして、「ぼ
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