THE GATES OF DELIRIUM。/田中宏輔
 
「ぼくら」を知っていくか、また、「自分を知らない」「ぼくら」が、いかにして、「自分」を知っていくか、その経緯のすべてとはいわないが、その一端は窺い知ることができたものと、わたしには思われるのである。


『マールボロ。』


 言葉は、つぎつぎと人間の思いを記憶していく。ただし、言葉の側からすれば、個々の人間のことなどはどうでもよい。新たな意味を獲得することにこそ意義がある。言葉の普遍性と永遠性。言葉自身が知っていることを、言葉に教えても仕方がない。言葉の普遍性と永遠性。わたしたちが言葉を獲得する? 言葉が獲得するのだ、わたしたちを。言葉の普遍性と永遠性。もはや、わたし自身が言葉そ
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