金さんの最期/室町 礼
ば
かりの態度だった。恋というものは時間がたつと
儚いものである。しょうがないので天神橋筋にあ
る金さんお勧めの屋台で焼き鳥を食べて痛飲しま
した。もちろん金さんは一文なしだからお代を払
うのはいつもわたしでした。
金さんは戦前、出稼ぎのために日本に来て神戸の
造船所で働いていたのですが終戦直後に失職して、
その後いろいろ紆余曲折があって
ホームレスになったということでした。親族のい
ない韓国に帰るのをあきらめて異国に骨を埋める
については彼はひとつの趣味に生き甲斐を見出し
ていました。それはバクチ。つまり賭け事ですが、
バクチを打って打って打ちまくって死ぬというこ
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