金さんの最期/室町 礼
こ
とが最後に残された自分の仕事と考えているよう
でした。
わたしの家から歩いて数分のところに、三角公園
という小さな公園があるのですがそこは戦後から
時間が停まったようなところで今も日本で唯一、
公衆テレビが高台に設置されている場所でもあり、
その下でホームレスや日雇い労働者、失業者、は
ぐれ者たちが粗末な野天丁半(のでんちょうはん)
をやっているのです。
胴元は全国でも最低規模の博徒一家のその枝の枝
の枝あたりの近所のチンピラやくざで、みかん箱
を積み重ねて布団のシーツを敷き、その上にサイ
コロを転がせていました。そこにマルクスのいう
ルンペン・プロレタリアートたち
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