冬の思い出/山人
ある。でも、そんな風には決してならないのが天候だ。しかしながら、そうはいっても昔に較べればはるかに少雪だ。
いまから六十年前、私たち大原開拓地の子供たちと五味沢地区の子供たちは寮生活を強いられた。部落の小さな集会所は幼稚園と僻地診療所も兼ねており、二階の二部屋は私たち大原開拓地の子供と五味沢の子供がそれぞれ泊まっていた。寮母夫婦が居て、朝になると「お前たちご飯だよ!」と怒鳴られる。長い飯台の上にアルミの食器が並べられ、おかずは確か納豆だけだった気がする。冷たい板の間に私たちは正座し、不味い飯を食った。それに板の間は幼稚園児の運動場であったため、ことのほか冷たく感じた。寮母は陰圏で冷たい女性だっ
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