異変/ホロウ・シカエルボク
になるにはもう少し時間が必要だった、もう少し眠ろうか、そう思って目を閉じてみたものの、気怠さの割に睡魔はもう消えてしまっているようだった、しかたがない…俺は上半身を起こした、キイィ、と金属が擦れるような音がした、昔流行ったパイプベッドというやつだ、二十代の頃には俺も持っていた、隣に見知らぬ女でも居るのかと思ったが、そんな様子はまるで無かった、ならば俺はどうして、ここでひとりで眠っていたのだ?何も思い出せなかった、昨夜は部屋に居たはずだ、酒を飲んだり、ヤバい薬に手を出したり―そんな、記憶を無くしてしまうようなヤンチャな真似は一切していない、こういう時は狼狽えないように努めるのがいい、別に今すぐに知り
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