定めの夜/ホロウ・シカエルボク
頃に、朝は人間の瞼を剥ぎ取りに来る、もの凄く静かな音と主に俺の注文した料理が来た、簡単なグリルだ、鉄板の上でソーセージや野菜が血気盛んな若者みたいにジュージューと油を跳ねている、何度目かの時からマスターは「熱いから気を付けて」と言わなくなった、俺は別に気にしてはいなかったけれど、もしかしたらそういうルールが彼の中であるのかもしれない、マスターとはこういう店で交わす定番の言葉以外を交わしたことが無い、デッサンの練習に使う木製の人形が、白いシャツにベストを着て、黒いズボンを履いて小さな低い声でお決まりの台詞を口にしながら同じペースで動き続けている、この店に来るようになってもう十年以上経つけれど、彼が慌
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