熊のフリー・ハグ。/田中宏輔
 
鳴が木霊する。
採集された余白が窓ガラスにビリビリと満ち溢れる。
「このテーブル、オレも使ってました。
オレのは、黒でしたけど。」
どこまで、いっしょなの?
この十年間、付き合った子、
みんな、ふたご座。
なんでよ?
そのうち、二人は誕生日が同じで、血液型も同じ。
すっごい偶然じゃん。
それとも、偶然じゃないのかな。
名前まで、ぼくとおんなじ、田中じゃんか!
いくら多い名前だからってさあ。
それって、ちょっと、ちょっと、ちょっとじゃなあい?
それじゃあ、ピタッと無責任に歌っていいですか?
いいけどお。
採集された余白が窓ガラスにビリビリと
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