日記(血、生活、光、・・・)/由比良 倖
れているからだ。
庭造りに精を出してたら意外にも楽しかった、意外にも嫌な隣人が優しかった、なんていう人生賛歌よりも、かなしみ故に泣き崩れてしまう、傷口と共に生きていく、絶対痛みを忘れないような物語が欲しい。頑張ったら傷が癒えました、なんて嘘だよ。傷は仮縫いの下で疼き続けている。痛み故にではなく、痛みを失いつつある退屈な自分を、人生のせいにして、愚痴っぽくなる。それがハッピーエンドのその先にある、現実の「生活」であって、それは「生」ではない。
もし、あなたが本当に自分を、すぐにでも死にゆく存在だと本当に認識したなら、この世には、もう次の瞬間には出会えない色彩と光に溢れていることに、気付かずに
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