日記(血、生活、光、・・・)/由比良 倖
、あるいは忘れることは、ぼんやりとした丸っこい存在になって、単にみんなと横並びになれる、ということしか意味しない。ぼんやりとした集団は怖い。ひりひりとした傷口を抱えたままのあなたは、吐き気がするほどその集団を忌避していた。
「みんな同じなんだよ、みんな辛い」そんな訳ない。あなた達は生ぬるい。渇きを忘れて、もはや暇つぶしや感情のエンターテイメントしか知らない人間は、死んでもいいんじゃないかと思うけれど(死ね、という意味ではない)、彼らはすごくしぶとい。「時間の流れって早いねえ」とか言ってる。それはね、一日中、心の傷を晒し続け、そしてその中でいくつもの一瞬の光と共鳴してしまうことのかなしさを忘れて
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