日記(血、生活、光、・・・)/由比良 倖
だと思った。
殺伐としたトップノート、甘いミドルノート、仄かでスパイシーな残り香としてのラストノート。シトラス系というよりは、都会の硬質さにノスタルジーなお菓子の匂いが混ざり合ったような。劇的なクライマックスではなく、雰囲気の触感の推移で、生理的に泣かせに掛かってくるような感じ。
無愛想極まりない運転手(そして意外にも東京とあまり変わらない、雑然としたパリの大通り)が、数時間(映画の中では数十分)の内に、客であるお婆さんと一緒にディナーを食べるくらい打ち解けて、笑顔が増えて、甘い雰囲気が拡がったところで、冷たい街外れの老人施設にお婆さんはあっけなく消えていく。
ゆっくりと生理現象をコン
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