日記(血、生活、光、・・・)/由比良 倖
ルのアリュール・オムと、煙草、それからコーヒーの匂い。いろいろ嗅ぎながら、包まれながら書いている。大好きな世界、大好きなリズム、大好きな空間、四方が数メートルの壁に囲まれた部屋の中、ヘッドホンの中、曲線の混じった宇宙。まずは道具立ての中で、僕は僕の世界を作る。そこから僕は僕を超えていく。
僕が十数年も探し続けていたのは、実は宗教でも思想でもなくて、自分自身だったのだと、最近やっと気付く。一ヶ月ほど前に散文(『ずっと好きでいられますよう』)を書いた頃からかなあ、例えば僕が求めていた「無私、無欲」は自分をぼんやりさせることとは全然関係無くて、寧ろ僕の存在と無私は本来イコールなんだと思うようにな
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