大阪文学学校体験記/室町 礼
 
った。
(不思議に思われる方もいるでしょうが当時の大阪文
学学校は詩壇で名をなす人も学生として遠くから通っ
ていた。歴程の重鎮である日高てるのような人の話を
聞くためだったのかも知れない。ちなみにわたしもA
も最終学年は日高てるのクラスだった)
わたしとAは授業が終わるとビルの裏手にある立ち飲み
屋で毎回酒を汲み交わした。わたしはまったく詩の素
人だから詩の話はまったくダメだった。一方Aは野村喜
和夫などと親交のある新進の詩人だった。どうしてそ
んな詩人がわたしのように素人の胡乱な相手に親しみ
を覚えてくれたのか不思議だった。
ただ困ったことには、Aがいつもわたしと連れ合っ
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