もうね、あなたね、現実の方が、あなたから逃げていくっていうのよ。/田中宏輔
っと無機的でも、嫌になるんだろうけれど
でも、ジェイムズ・メリルは、すごいよね。
そのバランスがバツグンなんだよね。
楽々とやっちゃうじゃない?
余裕があるのね。
ある意味、パウンドには余裕がなかったじゃない?
まあ、ほんとは、あるんだろうけれど。
詩をつくるという時点でね。
無意識にでもね。
悲しみを書くことで
悲しみから離れるからね。
喜びになっちゃうからね。
でも、あの歴史的な悲劇
第二次世界大戦というあの悲劇と
パウンド自体が招いた悲劇のせいで
余裕がないように見えるよね。
メリルは、その点
[次のページ]
戻る 編 削 Point(14)