喪失というものにかたちがあるとしたら/ホロウ・シカエルボク
 
えられていた、誰かが居るのだ、けれど、姿を見せることはない、こんな病院などありえないだろう、しかも身体は動かない、よくわからないが、尿や便は管を通して下に落ちているようだった、身体の感覚がないせいでいつそれが行われているのかまったくわからなかった、四日目に俺はあれこれ考えるのをやめた、誰かが俺を助けてくれて、面倒を見てくれている、それでいいじゃないかと思った、しばらくの間俺はそうしてされるがままになっていた、どれだけの時間が過ぎたのか、ある朝俺は目が覚めて無意識に起き上がって頭を掻いていた、それから、驚いて辺りを見渡した、身体についていたあれこれはすべて外されていた、まるで今日そうなることがわかっ
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