喪失というものにかたちがあるとしたら/ホロウ・シカエルボク
 
た、集中して、右腕や、左腕、右脚や左脚、首や腰、なんかが動くかどうか試してみたが、まるでびくともしなかった、なんてこった、と俺は思った、死んだと思ったのに生きていた、生きていたのに動けなかった、壁に時計がかかっていた、オフィスの壁なんかに飾ってある、味気ないデザインのアナログ時計だ、身体の動かない俺が時間が知りたくなったときのために、わざわざ用意してくれたのかもしれない、その時計はびっくりするくらい景色にハマっていなかった、でも、とりあえず、おかげで俺は時間を知ることが出来た、二時、午前だろうか、午後だろうか?窓は頭の右側にあるらしく、いまの俺には確認することが出来なかった、あまりに静かなので午前
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