喪失というものにかたちがあるとしたら/ホロウ・シカエルボク
 
以外の、俺を知っている誰かにとってはこの上なく面白い話かもしれないが、俺は若いうちにすべての縁を切って、ゴーストタウンででも暮らすべきだった、乗せられるのも落とされるのももうごめんだ、初めからどこにも居なければよかった、でも今頃そんなこと言ったってどうにもならない、自分がいまどんな体制で居るのかすらわからない、立っているのだろうか、さっきまでは立っていたはずだ、目を開けてみる、待てよ、いつの間に閉じていたんだ、視界が低い、身体が重い、おそらくは尺取虫みたいにへたり込んでいる、カフカの小説よりタチが悪い、ザムザより死期も早そうだし、ははっ、笑うと喉の奥から半固形の血液の塊が堕胎された胎児のように零れ
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