喪失というものにかたちがあるとしたら/ホロウ・シカエルボク
それでも血は流れ続けた、ひっそりと咲いたアカシアの上にも、俺は俺を見放しそうな意識をどうにかして繋ぎ止めようと不透明な頭の中で画策していた、頭上にはすんでのところで雨を押さえているかのような黒雲がカーペットの様に敷き詰められ、数十羽のカラスが俺が熟すのを待っていた、ふざけんな、と俺は口の中の血を吐く、それまでの記憶はまるでなかった、いや、おそらくは上手く辿れなくなっているだけなのだ、でももうたぶん、そんなことはどうでもいいことだった、俺のことだからきっと、なにかをしくじったんだろう、思えばそんなことばかりだった、少しは上手くなってきたと思っていたのにこのざまだ、笑い話にもならない、いや、俺以外
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