大雑把なルーレットの上の夜/ホロウ・シカエルボク
 
なことで苦労することもあった、でも、そんなことは最早どうだっていいのだ、どこの基準がどうだろうが、俺は俺の基準だけで生きているわけだから、そして俺の摂取した水分はあっという間に身体中を駆け巡った、まるで身体の中で霧散したかのようだった、おー、と俺は声を出した、それはトンネルの中のように体内で反響した、ぎぃん、と、内耳で今日な残響があった、エコーだ、と俺は声に出した、別に声を出す必要はなかった、けれど、その日俺が必要としていたのはそんな風に身体の内側で起こる振動を感じることだったのだろう、エコーだ、と俺はもう一度口にした、耳鳴りのようにいくつかの残響がいっぺんに鳴り続けた、それから、コップを片付けて
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