数式の庭。原型その2/田中宏輔
そうあることではない。
詩人は貴重な機会をつかまえたわけだ。
まさしく、恩寵といったものを感じていたであろう。
恩寵か。
わたしは、数式の庭を見渡した。
数式の花たちは、わたしにとって言葉でもあり
記憶でもあり、ものでもある。
数式の花たちにとっても
おそらく、わたしは、言葉でもあり
記憶でもあり、ものでもあるのだろう。
詩人は、べつの日の日記に、つぎのようにも書いていた。
何十回も読み直していて気がつかなかったのに
気がついたのは、あの投稿掲示板の大きさによるところも大きい。
あの大きさだと、間違いに気がつくことがほんとうに多いの
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