数式の庭。原型その2/田中宏輔
 
いのだ。
まずいところに気がつくことがほんとうに多いのだ。
視覚というのも、「正しい記憶」に関与しているのかもしれない。
さて
もちろん、視覚も「もの」ではない。
「もの」に依存するが。

書かれたものの大きさが、その作品を見渡せる大きさが
「正しい記憶」や、よりよい表現を促せたということか。
わたしの目は、もう一度ゆっくりと、数式の庭ぜんたいを見渡した。
プリントアウトした詩人の言葉をテーブルのうえに置いて
わたしは、ひとつの数式の花のところに足を向けた。

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