数式の庭。原型その2/田中宏輔
 
いったものをくぐってもたらされたのであろう。
その青年が発した言葉による意味概念のなかで
とりわけ、「男同士」というところが強い印象を持たせたであろう。
したがって、その「男同士」という言葉につづく言葉として
詩人としては「で」という、もっともありふれた
つまり、詩人が知るところでもっとも標準的な言葉を
音声的にも耳慣れたものであり、音調的にも
「の」よりも、耳にここちよいほうを
「正しい記憶」ではなく「記憶していたと思っていた言葉」から
引き出したのであろう。
のちのち詩人が、「正しい記憶」を思い出せたのは
詩人が書いていたことから推測されるだろう。
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