数式の庭。原型その2/田中宏輔
 
きだそうとするのを感じる。
数式の庭に足を踏み入れたとたん
わたしの目と肉体は
内からの数や記号の圧力と
外からの数や記号の圧力にさらされて
まるで両手でピタッと挟まれた隙間のようだ。
限りなく薄い空気の膜のようなものとは言わないが
無に近い存在かもしれない。
無力な無ではないつもりではあるが。


*


詩人がネット上に書いていた言葉に目を通していた。
日記の断片であろうか、作品の一部のようにも見えるが
詩人は、つくりかけの詩の断片をよくそのまま放置しておいた。
記憶と音に関するところだ。

ネットの詩のサイトに投稿していた詩を何
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