数式の庭。原型その2/田中宏輔
によって結びつけられるというようなイメージだろうか。あるいは、さらに合理的な比喩としたら、堆積岩の生成過程を例にあげることができるであろう。別々の砂礫が高圧力のもとで、それぞれの砂礫の接触面で溶融するかのように結びついて、ひとかたまりの岩石となる過程である。
ふたつ目のものの比喩としたら、過飽和水溶液から結晶が晶出するように、記号あるいは記号的な欲求が、数や記号を晶出させるといったイメージだろうか。
記号あるいは記号的な欲求を、語法あるいは語法的な欲求として見て、数あるいは数的なものを、言葉として見てとると、数と記号の問題は、語と語法の問題の、より単純な系として見ることができる。これに
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