俺にDDTを/ホロウ・シカエルボク
 
ような世界でいちゃ駄目なんだよ、敢えてこういう言い方をすることを許してもらいたいのだけれど、俺は可能性のある人間は導いてやりたいんだ、良き先陣としてね、それぐらいの資格はあると言えるだけのことはしてきたつもりだ、人間は旗じゃない、強い風に靡いていれば見映えよく見えるけれど、風が無い日にはしょんぼりとしなびていることしか出来ない、そんなのあまりにも情けないし、しょうもない話じゃないか、移動し続けることさ、ひとつの地点からひとつの地点へ、移動しながら考えるということをやり続けなけりゃ人間はすぐに野良の猿に仲間入りさ、そして、群れて馴れ合って居るだけでいっぱしの大人みたいな、そんな幻想に溺れて目が覚める
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