コバルトのヒツジの瞳/あらい
 
うに見えるとき、枕元に描かれた風をつかまえ、硬化した空気を掘り起こす。
 無数の日焼けしたボトルの全体は カラに引き裂かれた日付に溜まっている。勝手な自由を織る、くだけた跡形に奇々怪々と預けて 少し達者で、明日こそ侘しくもいたわりあって。拭った炭酸の気泡がまた触れて温められただけで。気に留めることはない、いまはまだコルクの旻天(あきぞら)に湛む。
 ああそれは孤独と退屈は座り込んだままに。息子(コ)の、と緩やかな口調で過ぎ去った昔話と聞かせるためにある。(毛糸の紫陽花の形も色も意味も超えて)、感触が反応しているだけであり、転がる心臓が(先端で月を抱きしめる器の底では、)胸懐の耳元で
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